インフルエンザの診断 その13【ちょっとおまけ メラゾーマいえゾフルーザ出ました】
ちょっと脱線して治療の話になって恐縮ですが、その1の脚注で言っていた新薬「ゾフルーザ」が、3月14日に発売になりました。
アビガン(実質処方は不可能)を除き、これまでのインフルエンザの薬(タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ)は「ノイラミニダーゼ阻害剤」と言われるものでした。
ゾフルーザは「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤」と言われるものです。
どちらも舌をかみそうな、正直自分でも何言ってんだかよく分からない感じですが、何が違うのでしょうか。
インフルエンザウイルスは、自分の力では増えることが出来ません。
では、人の体の中でどうやって増えるのか?
インフルエンザウイルスは人の細胞内に入り込み、そこにある「コピー機」(本来は人が自分自身の遺伝情報をコピーするためのもの)を勝手に借りて、自分のコピーを作ります。まさに外道。
作られたコピーは細胞外に出て、それがまた他の細胞に入り込んでコピーを作って、と同じ過程を繰り返すことでどんどこ増えていきます。
「ノイラミニダーゼ阻害剤」は、作られたコピーが細胞外に出られないようにするものでした。
それに対し「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤」は、コピー機を勝手に使えないようにするものです。
いずれにせよ、ウイルス自体をぶっ壊すわけではなく、「増えるのを防ぐ」という意味では一緒です。
ウイルスが「増えるのを防ぐ」薬ですので、これまでの薬同様、発症後できるだけ早く、ウイルスが増えきってしまう前の「発症後48時間以内」に使用するのが望ましいです。
小児にももちろん使用できますが、現状では、体重10kg以上かつ錠剤が内服できることが条件になります。
インフルエンザの流行が急速に下火になってしまったこともあり、発売後のインフルエンザ患者さんが殆どおらず、当院でもまだ2件しか処方しておりません。
最初の一回内服するだけで良いため、錠剤さえ内服できれば、事実上こればっかり処方されるようになってしまいそうですが・・・
続く:その14へ