インフルエンザの診断 その8【「痛い」インフルエンザ検査、何とかならんとですか! その4「鼻かみごときで出るんなら苦労せんかろーもん」】
「鼻汁鼻かみ液」は、清潔なラップなどに鼻をかみ、取れた鼻水を綿棒に取って検体とする方法です。
もちろん、自分で鼻をかめない小さなお子さんや、鼻水が出ていない患者さんでは選択できません。
ただ、鼻がかめる状態なら、鼻をかんで出すだけですので、全く痛くありません。
そんな楽な方法があるのなら最初からそう言ってよ・・・それでお願いします・・・
我々医者だって、患者さんになるべく痛い思いをさせたくありませんので、痛くなくて効果の高い方法であれば、それを選択します。
そんないい方法なら、医者はこぞってそれでやるはずですが、ほとんどの医師はこの方法を行わず、「あえて」鼻腔拭い液を選択します。
では、ちゃんと検査の説明書にも載っている、鼻腔拭い液よりもずっと楽なこの方法、ほとんどの良心的な臨床医がやらないのは何故か。
話は簡単、効果が一緒じゃないからです。「感度が低いから」です。
感度が低い、というのは、きちんと検査キットの説明書にも記載してあります。
「咽頭拭い液、鼻汁鼻かみ液を検体とした場合、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液に比べ検出率が低い傾向にありますので、検体の採取方法にご留意下さい」
てか、そんなことをいちいち調べなくても、インフルエンザウイルスが沢山いる鼻の奥をあれだけこそげた挙げ句に陰性に出ちゃう場合があるってのに、ウイルスのいるところを通っただけの、つまり鼻腔の奥よりもずっとずっとウイルス濃度が低いはずの鼻水で、偽陰性の確率が多くなるのは感覚的にも当たり前の話です。
富士山と高塔山(※)を比べたら高塔山の方が低い!、とか言っているようなレベル。
ですので、もちろん当院でも、原則として鼻汁鼻かみ液は使用しません。
続く:その9へ
※)高塔山は、北九州市若松区にそびえる標高124mの山で、山頂の公園からは、皿倉山をはじめとする帆柱連山と、かつて四大工業地帯として名をはせた八幡・戸畑の町並みを背景に、洞海湾とそこに架かる若戸大橋の美しい景色が一望できます。何せ標高があまり高くありませんから、手に取れそうなぐらい近く感じるんですよ、若戸大橋が、町並みが。天気が良いと、遠く富士山まで見渡せます(嘘)。北九州市民(とくに若松区民)の憩いの場であり、工場群の夜景も素晴らしいのですが、夜になるといわゆる「やんちゃ」な方々が沢山いらして治安が微妙になるのが玉に瑕(今はどうか知りませんスミマセン)。