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BCGワクチンの供給が不安定となっております・・・


現在、BCGワクチンの供給が不安定となっており、当院で接種されるお子様たちにも多少お待ちいただく状況となっております。

完全に出荷が停止しているわけではないのですが、何らかの理由により、卸業者にも不定期にしか入荷してこない状況のようです。

ワクチンが確保でき次第、順番にご案内いたしておりますので、

何卒ご理解、ご協力の程お願い申し上げます。


ところで、なぜBCGが不足しているのか?

現在プロユースの手指消毒剤やサージカルマスクが不足しているのと同様、正確な理由はよくわかっておりません。

が、まさかとは思いますが、今回の新型コロナの所為ではないですよね?

まだ真偽のほども不明な、日本株BCGが新型コロナに効果があるという報道で、大人に対する需要を当て込んで、買いだめしている業者や医療機関があるのではないですよね?

さらにまさかですけど、大人の方で、すでに実際にBCG接種している人とかいませんよね?

もちろん、ワクチンを任意で接種することは可能です。

BCGがじゃぶじゃぶ余っているのなら、効くかどうかわかんないし副作用起きても知らないけどそれでもどうしても打ちたいのであれば打ってしんぜましょう一回100万えーんヘイヘイマイドアリー、とか、勝手にどんどんやればいいと思います。

でも、日本国内で流通しているBCGワクチン、供給元は日本BCG製造株式会社の1社のみですし、そもそもが赤ちゃんだけに接種する前提で出生数などから生産数を調整しているはずですので、急激な需要増加に対応できる体制ではないと思います。

ですので、現時点で大人用にBCGをくすねたり、ましてや接種したりということは、赤ちゃんの分を横取りしているということ。まさに外道(※)。

まあ、あくまで仮定の話ですけどね。

日本にそんな、あさましい大人がいるはずないですよ。うん、絶対。

何かもっと別な理由で不足しているんだと思いますと思いたいです(泣)。


(※)いや、外道でもふつう、赤ちゃんには手を出したりしませんよね。外道の皆さんに失礼ってもんです。

BCGワクチン添付溶剤から規格値以上のヒ素が検出されたとの報道に関しまして

※11/20追記:すでに新しいワクチンが納入されています。以降は新しいワクチンを使用します。

【当院の方針】

1.すでにBCGを受けた方は、何もする必要はありませんし、心配する必要もありません。

2.これからBCGを受ける方は、安心してそのままお受け下さい。そうはいってもケチが付いたワクチンを受けるのはどうしてもイヤという方は、新しいワクチンが出るまで待っても良いかもしれません。ただし、公費の接種期限が迫っている方は、現行のワクチンでの接種を速やかに受けて下さい。

※11/17追記:本日、日本BCG製造株式会社から届いた「お詫びとお知らせ」によると、添付の生理食塩水ではなく、その他の注射用の生理食塩水を用いても構わない(予防接種健康被害救済制度の適用外とはならない)とのことです。つきましては、11/19より新しいワクチンが納入されるまでは、添付の生理食塩水に代わり注射用の生理食塩水を使用して接種を行います


【解説】

すでに各種報道でありますように、乾燥BCGワクチンの添付溶剤(生理食塩液)から、規格値(0.1ppm以下)を超えるヒ素が検出された(0.11~0.26ppm)事が判明いたしました。

該当するロット番号は、KH099~KH278で、出荷時期で言うと2009年4月~2018年11月に出荷された物が該当します。

日本の結核ワクチンは、日本BCG製造株式会社(以下、BCG社)が製造するBCGワクチンのみ です。つまり、2009年4月以降にBCGワクチンを受けた方は全て、該当するBCGワクチンを接種したことになります。

BCG社および厚生労働省によると、ワクチン1本分の生理食塩水(0.15ml)に含まれていたヒ素の量は、最大で0.039μg(マイクログラム)です。接種の際は、(当院では)スポイト1滴分(約0.03ml)を垂らして行っていますので、ヒ素量は最大でも0.0078μgとなります。

お子さんの体重を5kgとすると、ヒ素の許容一日暴露量(注射)は1.5μgです。仮に、0.0078μg全てが体内に入ったとしても、そのわずか0.5%程度に過ぎません。

なお、この「許容一日曝露量」は、「医薬品の元素不純物ガイドライン」に示されているものです。医薬品としての基準ですので、非常に非常に厳しい値です。

ヒ素は多く摂取すれば猛毒ですが、逆に人体に必要な必須元素でもあります。また、ヒ素は自然環境中に広く分布する元素であり、様々な食品や飲料水は微量なヒ素を含んでいます。特にヒジキなどの海産物や、米などに多く含まれており、日本人は食物などから、一日におよそ200μgのヒ素を摂取しています(※)。先ほど申し上げた0.0078μgという数字が、いかに小さく取るに足らないものか、おわかり頂けると思います。

ですので、溶剤から検出されたヒ素は、医薬品として厳しく定められた基準値を上回るものですが、安全性に関しては問題なく、特に対処をする必要はありません。食事から摂取されるよりもはるかに微量なヒ素が検出されたからといって、心配される必要は全くないのです。

ぶっちゃけて言うと、「そんなん気にしとったら、何も食えんし、生きていかれませんがな」ということです。

もう一度、当院の方針を申し上げます。

すでにBCGを受けた方は、何もする必要はありません。繰り返しますが心配不要ですので、デトックスだのキレートだの毛髪検査がどうのこうのといった、怪しい商売に引っかからないようにご注意願います。

これからBCGを受ける方は、安心してそのままお受け下さい。そうはいってもケチが付いたワクチンを受けるのはどうしてもイヤという方は、新しいワクチンが出るまで待っても良いかもしれません。ただし、公費の接種期限が迫っている方は、現行のワクチンでの接種を速やかに受けて下さい。

なお、国としても健康に影響はなく、BCG社としても回収等の対応は行わないとの立場ですので、この件に関しての(日本脳炎ワクチンの特例対象者のような)「救済措置」はおそらく無いと思われます。
※11/24追記:BCG社から自主回収の連絡が来ました

勿論、医薬品としての基準を上回り、国民に不安を与えたをBCG社の責任は重大です。猛省を促したいと思います。
          
※農林水産省(2014)によると、日本人1人あたりの総ヒ素1日摂取量は合計178.2μg

卵アレルギーのお子さんへの、ワクチン接種について(当院の方針)

卵の成分が含まれる可能性があるワクチンには、当院で取り扱っているものですと、

 ・麻疹(はしか)ワクチン(MRワクチン)
 ・ムンプス(おたふくかぜ)ワクチン
 ・インフルエンザワクチン

があります。


よく、卵アレルギーがあるんですが○○の予防接種は・・・という質問を受けます。


で、はいはいはい良いですよホイホイ、ってお答えいたしますでございますのですが、、

「他院では駄目っていわれたのに、おたくでは良いんですかっ!?!」

と、「本当に大丈夫なの?」というニュアンスで聞き返される、と・・・。


卵アレルギーのお子さんがアナフィラキシー(接種後急速に発症する強いアレルギー反応)を起こすには、オボアルブミンという卵のアレルゲンが600ng(ナノグラム)以上必要です。

一方、当院で扱っているワクチンのオボアルブミン量は、MRワクチンおよびムンプスワクチン1回で0.5ng以下、インフルエンザワクチン1回(成人量)で5ng以下です。

つまり、ワクチン接種により体内に入るオボアルブミン量は、理論的にどう考えてもアナフィラキシーが起こらない量だと言えます。


また、これまでに報告されているワクチンによるアナフィラキシーの多くは、卵のアレルゲンよりも、安定剤として添加されたゼラチンに対するものであると考えられています。

当院で取り扱っているワクチンは、全てゼラチンフリー(ゼラチンを含んでいない)であり、ゼラチンに対するアレルギーも起こりえません。

以上より、当院でのワクチン接種によりアナフィラキシーをきたすことは、まずありえない、極めて稀と考えられます。


ただし、卵に対する強いアレルギー反応が予想される方(※)で、

どうしてもご心配な場合は、緊急時の体制の整った病院の予防接種外来を紹介することも可能です。

ご希望があれば、紹介状を作成いたしますので、遠慮なくご相談ください。



なお、万が一、当院でのワクチン接種によりアナフィラキシーをきたした場合は、直ちに適切な対処を行います。

その際、迅速な対応が何よりも重要ですので、処置についての説明が後になる場合もございます。


※以下のような方が対象となります。まあ、それでも普通大丈夫なんですけどね・・・
 ・最近の特異的IgE検査で、卵白に対する数値がclass5以上のかた
 ・卵によるアナフィラキシーを起こしたことがあるかた


プロフィール

かわかみあきひろ

Author:かわかみあきひろ
川崎市高津区子母口497-2子母口クリニックモール2階
かわかみ小児科クリニック
小児科・アレルギー科
院長  川上 章弘

詳しいプロフィールについては、
かわかみ小児科クリニック公式HPの院長紹介
をご覧ください。

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