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いわゆる「アトピー性皮膚炎」に対する当院の基本的治療方針 その2~ステロイド編

だいたい、「ステロイド」、ってのは、名前が悪いと思うんですよ。

なんか悪役っぽいし。悪役の中でも、大物じゃなくって、微妙に小物感が漂う感じ。

北斗の拳で「ヒャッハー!」とか言ってる連中のイメージ。


それが、「副腎皮質ステロイド」、っていうと、俄然雰囲気が変わってきますね。

もうラスボス級の迫力。聖帝サウザー様かよと。


いまだにステロイド剤というと、悪魔か親の敵みたいに考える方もいらっしゃいます。

でも、適切に使用すればこんなに素晴らしいお薬はそうありません。


当クリニックのアトピー性皮膚炎治療方針のその②、ですが、

②炎症が起きたら、炎症を抑えるお薬(ステロイド)で早めに対処する

ステロイドの使い方のコツは「短期集中」です。

つまり、使うべき時には、ステロイドをしっかり使う、です。

逆に言うと、使わなくていいときは、使わない、です。


私はよく、火事にたとえるのですが、

乾燥して、火がつきやすい状態になっているのが「カサカサ」、

赤くなっている、火がついているところが「炎症」です。


火事は起こさないほうが良いに決まっています。

ですから、普段から火がつかないように(乾燥しないように)しっかり保湿する

それでも火がついてしまったら、火消し(ステロイド)をしっかり使って消火する。

で、火が消えれば、もう火消しを使う意味はありません。止めます。


時々、「ステロイドをずっと使っているが、良くならない」という方がいらっしゃいますが、

この、おそるおそる、不十分な強さのステロイドを、きかんきかんといいながら延々と使う、

これがもっとも避けたい使い方です。

さっきの火事のたとえで言うと、家が燃えているのに、バケツの水で火を消そうとしているようなもの。

不十分な強さの薬を延々と使う。これが、効果もなく副作用だけ出る、

これまでの悪役扱いされていたステロイドの使用方法です。


燃えさかる家を前に、必死になってバケツの水をかけて、

 「火がきえねーぞ!」(炎症がおさまらない)

 「それどころかオイラもうヘトヘト。水でびしょびしょ。回りも水浸し」(副作用)

 「水は駄目だ。水は怖い怖いヒイ」(ステロイド悪役説)


ステロイド悪役説ってのは、そんな無茶苦茶な理論ですよ。

なんで消防車を呼ばない?



まあ、どっかで聞いてきた勝手なイメージだけで、

ステロイドちゃんのこと、そんなに悪く言わないであげてください。

上手く付き合えば、本当はとってもいい子なんですっ!

いわゆる「アトピー性皮膚炎」に対する当院の基本的治療方針 その1~保湿

治療の2大原則

 ①徹底的に保湿する

 ②炎症が起きたら、炎症を抑えるお薬(ステロイド)で早めに対処する



以上です。


・・・え、それだけかって? ええ、それだけです。


アトピーなんて難しい病気の治療だから、もっと色々あるんじゃないの?

ほら、アレルギーとか、体質改善がどうとか・・・。


いえ、難しい話を期待された皆様には申し訳ありませんが、私、難しい話は嫌いでして・・・

それと、アトピーが難しい病気、ってのは、いったい何を言っているんです?



幽霊の正体見たり枯れ尾花 ~アトピー性皮膚炎の本質は、アレルギーではなく「乾燥」


近年、アトピーや食物アレルギーの概念が、大きく変わりつつあります。

特に、複雑怪奇で得体の知れない、まさに魔物のような存在だったアトピー性皮膚炎ですが、

その虚飾の仮面を取り去ってしまえば、正体は実に単純であることが分ってきました。

アトピー性皮膚炎の基本的なメカニズムは、簡単に言ってしまうと以下の通りです。


体質的(遺伝的)に、乾燥しやすいお肌 → 乾燥して、皮膚のバリアが破綻する → 炎症が起きる

破綻して、炎症が起きたお肌から、アレルゲンが侵入する → アレルギー反応を起こす


つまり、アトピー性皮膚炎の本体はアレルギーではなく、「皮膚の乾燥」にあるようです。

アレルギー云々はどっちかというとオマケ、枝葉の話に過ぎません。


アトピーの赤ちゃんでも、お顔を見るとオデコ・鼻筋のいわゆるTゾーンはほとんどキレイです。

また、体はカサカサでも、オムツの中だけは比較的キレイなことが多いのです。

なぜかと言うと、Tゾーンは脂がいっぱいだし、オムツの中は湿度が高いので、乾燥しないからです。


アレルギーが関与しようがしまいが、皮膚の湿り気さえ保てれば、キレイに保てるのです。



治療の根っこは「保湿」


であれば、治療の対策はいたってシンプルです。「乾燥させなければいいやん?」です。

乾燥させないためにはどうするか?

一日中お風呂につからせておきますか? そうもいきません。


乾燥させないためには、保湿剤を使用するしかありません。

ただし、保湿剤の効果は一時的なものですから、効果を長続きさせるためには


頻繁に塗る、しつこく繰り返し塗る


これが重要です。徹底的に保湿する。暇があれば塗る。これに尽きます。


塗り方とかどうのこうの言う前に、とにかく塗ってください。

「こんな塗り方でいいのかしら?」とか悩んでいる暇があるなら、とにかく塗ってください。


こんなくだらないブログを読んでいる暇があるなら、保湿剤を塗ってください!・・・ぇっ?


プロフィール

かわかみあきひろ

Author:かわかみあきひろ
川崎市高津区子母口497-2子母口クリニックモール2階
かわかみ小児科クリニック
小児科・アレルギー科
院長  川上 章弘

詳しいプロフィールについては、
かわかみ小児科クリニック公式HPの院長紹介
をご覧ください。

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